レザークラフト スマホのレザーケースを作る
スマホケースと言えば手帳型を使っている方が多いですね。
手帳型が出だした頃はポケットのような入れるだけのシンプルなケースがありました。
個人的にはこのタイプが好きで機種を変えてもこのタイプをずっと使ってきました。
今までのケースを並べて見ると、スマホがだんだん大きくなって来たことを物語っています。(一番小さいのはデジカメ用)
このようなレザー製品を作るには丈夫なミシンでしか縫えないと個人的に思っていました。ところがレザークラフトという言葉に出会って、手縫いで作ることを知りました。
近年は、このようなスマホケースは見かけなくなり、しかもレザー好きな私としては探すのに苦労しておりましたので、それならサイズに合わせてケースを自作するか・・・と思いまして製作しました。
レザークラフトで使う材料は通販でも入手できますので簡単なものならと試したのが始まりです。自身、まだ凝ったものは作れませんが、一縫いで出来るケースなら難しくないです。
レザー(革)は好きなものを入手します。
今回は2種類のレザーにします。ついでに色変えて2個製作します。これはその日の気分で変えようか・・・と思ったからです。個人的にはゴワゴワしたレザーより、ヌメ革が好きです。
ヌメ革は型押しなどの表面加工をしない革らしい雰囲気で、素朴な匂いやなめらかな手触りがあります。
そして使い込んでいるうちに色の変化も見られます。
ですが、欠点は傷がつきやすく、濡れたらシミになりやすいです。
購入時はライトブラウン色だったのが5年ほど使い込んだらこんなごげ茶色に・・・。傷も入りやすくて多く入っています。
ヌメ以外の革これはシボ加工でしょうか・・・。表面にシワ模様と立体的なふくらみのあるシワがあります。表面処理のひとつで、物理的にシワ模様(シボ)をつけ、ヌメ革より目立つ傷も付きにくく丈夫です。
これはスエード個人的に表面には使いませんね。
これは何でしょう?指でなぞるとゴムのように滑らず感触はしっとりしています。
今回は製作するケースは、丈夫にしたかったので革の厚みはどちらも2mmにしました。重いものを入れるわけではないのでもう少し薄い方がサイズも小さく、重さも軽くなるのですが、丈夫にしたいその訳は厚みが薄いケースで使い込んだら底面が曲がっていった経験があります・・・。使い込んだスマホケースの底辺
これは市販のケースですが、5年程かばんやポケットに入れて使ったらこのように曲がっていきました。このケースに使われているレザーは柔らかいヌメ革で厚みはおそらく1.5mmだと思います。
①革を必要なサイズに切断します。
1枚の革を2つ折りにして片側だけ、または底面を折り返し両サイドだけの方が縫う長さが短くて楽なのですが、このような使い方をすると折り畳で厚みが出ることと、個人的な見た目には縫い目が全周に欲しいので、手間ですが2枚を縫い合わせします。②切断する前に両面テープを用意します。当方は紙の両面テープ(後で剥がしますから剥がしやすいので)を使って、革の裏面どうしを貼り合わせます。その訳は、目打ちをする際に2枚の革がズレてしまわないように両面テープで固定しておくためです。③貼り合わせたら切断します。当方は革包丁でなく、当方が使いやすいカッターで切断します。
カッター切断で切りにくくなる使い方は、刃を立て過ぎ、刃の出し長さが短いことです。
初めの切り出しは、刃の折れ目の2つ目(奥)位置を革に当てて切り出すのがコツ。
切断面の厚み角を丸くしたい場合は、ヘリ落としという道具を使います。当方は製作では使ったことがありません・・・。というのは最後の仕上げでの「コバ磨き」で少し丸くなるので満足しているからです。
しかし後にも記載していますが、コバ磨き(ヘリ磨き)でレザーの表面が捲れてくる場合もあるので、ヘリ落としをしておいた方が良いかもしれません。
使い方はヘリ落としの先を革の角にあてて進行方向に押し進めて角を落していきます。彫刻刀のような使い方ですかね・・・。
革の厚みによってヘリ落としのサイズを変えて使うようです。
次は目打をします。目打ちとは縫い合わせる糸を通す穴を空けることです。
縫い目を斜めにするなら、この菱目打ちという道具を使います。今回これを使います。
①打つ前にゴム板も用意します。菱目打ちの目の部分を完全に革を貫通させるためにゴム板の上で行います。
②4本刃の目打ちで打っていきます。初めに一打が緊張します。
木ハンマーがないので以前から木槌として使っているこの肩たたきを代用・・・。
底辺の真ん中を計ってここから打っていきます。一度で4つ穴が開きますが、次に打つ時に4つ目の穴に目打ちの1刃目を入れて間隔が均等になるように打ちました。ですので、打って開いていく穴数は3穴ずつという事です。③曲がり角は刃が2本の目打ちに変えます。
角でも間隔が均等になるよう先に打った穴に1刃目を入れて、1穴ずつ開けていきます。そして・・・1周打ち終わりました。
今までも特別にしていたことがあります。それはスマホの出し入れによるレザー裏面毛羽による傷防止と、スマホの汚れを拭き取ってくれる期待から、眼鏡クロスの布をケース内部に貼っていたのです。
今までの市販ケースは出来上がっているため布を袋に編んでからケース内部に入れて、入口だけ両面ブチルテープで止めていました。これだけでスマホを取り出す時に布袋も一緒に出て来ることはありませんでした。
今回は自作なのでレザーに先に貼ることができます。
①保護する布を切断します。縫いの目打ち穴に掛かるようなサイズにします。これは縫う時に一緒に縫えるからです。切断サイズですが、レザーより1mm程度少し小さめに切断します。
その訳は同じ大きさに切断すると、レザーを縫い合わせた時にレザー断面から布がはみ出て見栄えが良くないからです。
②レザー裏面にボンドで接着します。点づけで大丈夫です。重ねた時に布がはみ出ないように。
③ケースの入口はスマホの出し入れで捲れてこないよう、点づけでなくしっかり淵ギリギリに連続塗布します。
まず縫い糸ですが選択するには色々な色と太さがあります。
強度を増すためにロウが塗ってある糸もあり、これをロウ引き糸とも呼ぶようです。このロウが多いと縫う前に布で軽く拭き取っておいた方がベタベタせずに作業しやすいです。
「エスコード」という製品名は麻糸で毛羽立ちやすいですが風合いがあります。これもロウ付きもあります。
最後の縫い止めを熱で溶かして処理できる化学繊維のポリエステル・ナイロン糸は毛羽立たちがありません。
名前は、ワックスコードやビニモなどがあります。
ライターで炙るとこのように溶けます。
色はずいぶんと悩みました。持っているケースの見た目も参考にしながら・・・。
ブラウンの革に黄色の派手なのもカッコよいですし、同色も落ち着いていて良いですね。
糸の太さですが糸を目立たせたいので太い糸にしました。
基本の「平縫い」
①今回使う糸はロウ付きなので先に軽く拭き取りました。
このケースの縫う長さは片面で約50cm弱、両面なので1mになりますが、レザーの厚み分と折り返し、針に掛ける分が必要なので縫い途中に足りない事にならないよう多めにします。今回には切った長さは2m50cmです。
②板を2枚でレザーを挟んで手前に向かって縫っていきます。(自分は・・。)
テーブルに固定できるタイプのホビーバイスが便利です。
ホビーバイスホビーバイスで挟む
③平縫い方を簡単に言うと、1本の糸の両端それぞれに針2本を通します。針に通しにくい場合は化学繊維の糸は火であぶると溶けますのですぐにつぶすと解れず通せます。
④縫い始めの位置は、折り返し縫いするためにレザー端から数えて内側3つ目から縫いはじめますので、この穴に糸を通し左右の糸が同じ長さになる位置にします。
⑤縫い始めます。
端まで縫ってまた手前に返って縫って行きます。
まずは通し方です。うまく表現できませんが・・・
左右の糸が同じ長のこの状態で、片方の糸を次の穴に通します。
通してから縫っていこうとする進行方向とは逆向き(手前に)ひし形の角方向へ寄せて穴の上角に隙間を作ります。
この上角に開いた隙間にもう1本の糸を通します。
次に右側の下に引いていた糸を次の穴の通し左側に出します。
次にこの糸を穴の上角に引いて下角に穴に左にある糸を通します。
これで2穴の通し方です。右から通す時は上角に通し、左から通すのは下角・・・という感じ。
このように通すと糸が斜めに通る目になります。
⑥端にたどり着いたら今度は折り返します。
同じように通していきますが、返し縫いは穴に通す位置を先に通して来た糸目と揃えます。そうすると見た目がきれいになります。
縫いの長旅へ⑦これをていねいに繰り返して行きます。
左右の糸を同じ力加減で引き締めながら繰り返す。という感じです。同じ力加減で続けるときれいに並んだ縫い目になります。
このとき柔らかいレザーは糸がレザーに沈みやすくて糸目の差が出やすいので引き加減に注意しましょう。
ケース入口は縫っても縫わなくても良いです。個人の間隔ですし、見た目だけです。
⑧縫い終わりは縫い始めと同じように、3穴ほど戻り縫いします。
今回のようなケースの使い方では革の表と裏がないですが、結び目が目立たないようにするには、結び目が革の厚みの中にできるように糸を引き締めます。
もし凸状に目立ってしまったら、細いもので押し込むか、木槌で軽くたたけば結び目は穴に埋まる感じで目立たなくなります。
結び目は個人的にポリエステルやナイロンなどの化学繊維の糸を使って、ライターの火で溶着させるのが楽です。
糸が熱いうちに糸の先を押しつぶすと糸玉ができ抜け止めになります。
ただ、注意することはロウ付けの糸などは、ロウが溶けてレザーがシミになる場合があります。
そして、麻糸は溶けません・・・。
➈縫い目全体を木づちなどで軽く叩いて慣らします。
使用時の糸の摩耗のためにも効果があります。
今回のように素人の自分がカットした場合です。カットした2枚を貼り合わせて面に段差ができてしまったら、サンドステック(ヤスリ)を使って段差を取り除きます。これは最後の次工程の準備にもなります。
角に切断の段があれば削ってきれいな角に仕上げます。サンドステックは今回、中目を使っていますが100均で売られている目の細かい、ツメヤスリや、かかとヤスリでも状態に合わせての仕上げには代用できます。
レザーを裁断した状態の断面(コバ)は、先ほどのようにサンドステックで磨いても毛羽立っています。面取りにサンドステックで削った角の様子
レザーを切断したままの状態でケースを使用していると傷みやすいので、その毛羽立ちを押さえる作業をします。
道具として木製のコーンスリッカー (ヘリ磨き棒)を使います。
レザーの厚みに対して溝を選びます。というのは厚みに対して狭い溝幅で磨くと、例えば先にヘリ落としをしないとレザーの表面の着色した面が捲れることがあるのです。コーンスリッカー (ヘリ磨き棒)は色々な使い方があるとは思いますが素人の私が経験したことです。
また、毛羽立ちが少ない状態であればそのまま次工程の「トコノール」を塗布し磨いてしまうこともしています。
いよいよ最後の仕上げです。
この項目名について、当方より詳しい方が説明されているサイトがあります。ここでも素人の感覚で専門的な話ではありませんのでご了承ください。
トコノールとトコフィニッシュという商品があります。
トコフィニッシュは、
水っぽいので伸びが非常に良いが浸みこみも早い。
レザーの表面に付いてしまってもシミになりにくい。
今回使うトコノールは、
仕上げ用という事でワックス成分も入っていて、白いクリーム状でトコフィニッシュよりもう少し粘度が高いです。
浸みこみがトコフィニッシュより遅いので慌てないで作業できそうです。
どちらも仕上げの大きな差がわかりにくいようです。
はみ出たらすぐに拭き取るのがよいでしょう。
トコノールには、トコノールカラーという黒や茶色の色付きもありますが、気を使いながら塗らないと塗る以外の部位に色が付いてしまいますので、細いものでていねいに塗る必要があります。ただ塗装のような濃い色にはならないです。
①トコ面にトコノールを塗布します。②木製のコーンスリッカー (ヘリ磨き棒)で磨きます。溝に色々なサイズがあるのでレザー厚みに合うサイズ部分で磨きます。経験上、溝が小さい部分では断面の中央部が磨けませんし、大きすぎるとレザーの種類によっては表面(色部分)が捲れ始めます。③当方は、1辺当たり50回くらい磨きました。(あくまでも磨き具合で見た目の自己判断です。)そして磨いたら・・・塗って磨くだけでこれだけでこんなに見た目が良くなります。
レザーは使用していると伸びて行くので、ギリギリな感じのサイズにしました。かなり攻めてしまい最初は相当きつくこれはまずいなぁ・・・となりましたが、過去の少し小さいスマホを出し入れしていると次第に伸びて来ました。それでもきついですが入るようになりました。さらにテレビを見ながら出し入れを繰り返しているとスマホがなんとか取り出せるレベルになりました。今後使っているうちに実用範囲に伸びて行くと思います。
スマホの大型化でケースは出来るだけ小さく作りたいです。ちょうど取り出せる大きさで製作すると、その後使用し伸びてケースからスマホがするっと落下する経験もしていますので、このようなフタのないケースの場合は、きつめに製作するのが良いかと思います。
素人自作なので変なところもあると思いますが、これくらいでご勘弁頂ければ・・・。
・レザー(ヌメ革 栃木レザー) 10cm×20cm 厚み2mm (4枚 2個分)
・手縫い糸(ワックスコード)
・トコノール(SEIWA)
・眼鏡クロス(マイクロファイバー)
・定規
・カッター
・カッティングシート
・ハサミ
・ボンド
・紙の両面テープ(目打ち位置ずれ防止)
・菱目打ち(4刃、2刃)
・木ハンマー(肩たたき代用)
・ゴムマット(目打ち敷物)
・ホビーバイス(手縫い時レザー固定)
・板2枚(手縫い時革固定)
・手縫い針 2本
・ライター(糸止)
・サンドステック中目(ヤスリ)(ツメ、かかと手入れ用も代用可)
・コーンスリッカー(ヘリ磨き棒)
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レザークラフト スマホのレザーケースを作る(当記事)
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